植物の生命の謎を解き明かした天才、ヤン・インゲンホウスの功績と知られざる生涯
「植物はどうやって呼吸しているの?」「光合成っていつ発見されたの?」そんな疑問を持ったことはありませんか?私たちが理科の授業で習う「光合成」の仕組み。実は、その根本的な原理を世界で初めて突き止めたのが、18世紀のオランダ人科学者、ヤン・インゲンホウス(Jan Ingenhousz)です。 現代の環境問題や植物科学を語る上で欠かせない存在でありながら、その名前や具体的な功績については意外と知られていないことも多いものです。この記事では、植物の驚くべき能力を発見した彼の偉業と、その劇的な生涯について、初心者の方にもわかりやすく解説します。 1. 「光合成」の発見:世界を変えた世紀の実験 1770年代、科学界では「空気」の正体についての研究が盛んに行われていました。当時の常識では、植物がどのように空気と関わっているのかは謎に包まれていました。 太陽の光が鍵だった インゲンホウス以前、ジョゼフ・プリーストリーという科学者が「植物は汚れた空気を浄化する」ことを発見していました。しかし、その実験は時々失敗することがありました。インゲンホウスはこの「失敗」の原因を深く考察し、1779年に画期的な発見をします。 彼は、植物が空気を浄化(酸素を放出)するのは、**「太陽の光が当たっている時だけ」**であることを見抜いたのです。 夜の植物は「呼吸」している? さらに彼は、光が当たらない夜間や暗い場所では、植物も人間と同じように「酸素を吸収して二酸化炭素を放出する」ことも突き止めました。この発見により、昼と夜で植物の役割が切り替わるという、植物生理学の基礎が築かれました。 2. インゲンホウスの多彩な才能:医学から物理学まで 彼は単なる「植物学者」ではありませんでした。そのキャリアは驚くほど多才で、当時のヨーロッパ最高峰の知識人として活躍しました。 天然痘から皇室を救った医師 インゲンホウスは優れた医師でもありました。当時、猛威を振るっていた天然痘の予防接種(人痘法)の専門家として知られ、オーストリアの女帝マリア・テレジアの子供たちに接種を施し、成功させた実績を持ちます。この功績により、彼はオーストリア宮廷の侍医として迎えられました。 物理学への貢献:ブラウン運動の先駆け 意外なことに、彼は物理学の分野でも足跡を残しています。顕微鏡で液体中の炭粉の微粒子が不規則に動く様子を観察し、記録に...